猫の感染症を防ぐために、定期的にワクチンを接種する必要があるのをご存知でしょうか?
猫がウイルスに感染して発症すると、死に至るような恐ろしい感染症もあります。
ただ、感染症の多くはワクチン接種を適切に行うことで防ぐことができます。
愛猫を守るためにも、飼い主としてしっかりと対策を行いましょう。
今回は、猫を飼うにあたり、必要なワクチン接種に関する知識や、健康に関する基礎情報について解説します。
ぜひ参考にしてみてください。
猫のワクチンとは
ワクチンとは、事前に毒性を弱めたりなくしたりしたウイルスや細菌を体内に入れ、病原体に対する抗体を作っておくことで、ウイルスや細菌に対しての免疫を作ることです。
抗体があると、感染しづらくなり、感染しても症状が軽度で済ませることができます。
猫のワクチンの接種時期・回数
猫のワクチン接種の適切な時期と回数についてご紹介します。
子猫の時期と成猫以降で回数が異なります。
子猫の時期
子猫の時期には、生後2〜4か月くらいで1回目のワクチン接種を行いましょう。
2回目の接種はその1か月後を目安に行います。
子猫の時期は、この2回のワクチン接種で1セットとなります。
このワクチン接種時期の目安は、生まれたばかりの子猫は母猫の母乳に含まれる抗体によって守られており、その抗体の効果がなくなる頃に接種するといいとされています。
ただ、野良猫や生まれてから母猫と一緒にいれなかった子猫の場合には、そもそも抗体をもっていないこともあるため、注意が必要です。
成猫以降
子猫の時期に2回のワクチン接種を行い、成猫以降は年に1回のワクチン接種を行いましょう。
成猫になってからのワクチン接種については、アメリカでは2〜3年に1回とされていますが、日本では年に1回の接種が推奨されています。
これは、飼育されている猫のワクチン接種率がアメリカは高く、日本ではまだ接種率が低いため、感染の確率が高いためといわれています。
ワクチン接種をしていない感染した猫を介して感染することがあるので、年に1回きちんとワクチン接種を行いましょう。
猫のワクチン接種の注意点
ワクチンの接種にあたっては、接種前・接種後に注意する点があります。
接種前
ワクチンは、ウイルスの毒性をなくしたり弱めたりしていますが、体調に不安がある時に接種すると感染症を発症してしまうことがあります。
そのため、ワクチン接種前の体調管理には十分注意してください。
もし、接種前に体調不良がある場合には、獣医師と相談の上延期も検討しましょう。
特に子猫やシニア猫の場合には、抵抗力が弱いためワクチン接種前の体調に気をつけてあげてください。
接種後
ワクチン接種後に、微熱が出たり元気がなかったりといった風邪のような症状が出ることがあります。
また、むくみや腫れ、痒みなどのアレルギー反応が出るケースもあるので注意が必要です。
ワクチン接種後にはなるべく安静に、激しい運動やシャンプーなどは控えましょう。
何か異常があった場合に対応ができるように、ワクチン接種は午前中に行うことがオススメです。
また、接種による免疫効果が出るまでに2週間程度かかるため、特に子猫の場合には、ワクチンを打っても2〜3週間は他の猫や動物との触れ合いを避けた方がいいでしょう。
猫のワクチンの副作用
健康な猫であればほとんど症状は出ませんが、猫のワクチンには副作用があります。
ただ、症状が出ても多くの場合は一時的です。
猫のワクチンの副作用の症状には、以下のようなものがあります。
・発熱
・元気がない、食欲不振
・アナフィラキシーショック
・下痢、吐き気
・むくみ、腫れ
・かゆみ
・貧血
副作用の症状出た場合には念のため動物病院へ連絡し、相談してみましょう。
一般的に、24時間以内に収まるようであれば治療などは行われません。
もし副作用が出た場合には、次回のワクチン接種の時にも獣医師に申告すると安心です。
猫のワクチンで防げる病気
猫のワクチン接種によって防ぐことができる病気は、以下の6つです。
①猫ウイルス性鼻気管炎
猫ウイルス性鼻気管炎は、猫風邪の1つで猫ヘルペスウイルスによって起こります。
症状としては、鼻水・くしゃみ・発熱などが見られます。子猫やシニア猫の場合には、重症化して肺炎を引き起こしてしまうことがあるため注意が必要です。
②猫カリシウイルス感染症
猫カリシウイルス感染症も猫風邪の1つで、猫カリシウイルスによって起こります。
猫カリシウイルス感染症の特徴としては、口内炎や舌炎などの口の中に症状が出ることが挙げられます。猫カリシウイルスに対する特効薬がないため、こじらせてしまうと命にも関わる恐ろしい感染症です。
③猫汎白血球減少症
猫汎白血球減少症とは、猫ジステンパーとも呼ばれる伝染力が高く、致死率が高い恐ろしい病気です。
猫汎白血球減少症の症状は、食中毒のような吐き気や下痢、食欲不振などが見られます。
特に、子猫が感染すると重症化しやすいため注意が必要です。
④猫クラミジア感染症
クラミジアとは、ウイルスと細菌の間の小さな微生物のことを指します。
このクラミジアに感染すると、結膜炎の症状が見られます。
体力のない子猫が猫クラミジア感染症を発症すると、他の感染症を併発しやすいので注意しましょう。
⑤猫白血病ウイルス感染症
猫白血病ウイルス感染症とは、白血病ウイルスに感染することにより、骨髄で正常に血液細胞が製造されなくなり、貧血や呼吸困難などの症状を引き起こす病気です。
また、猫白血病ウイルス感染症は一度発症してしまうと、完治することがほとんどない恐ろしい病気です。
特に、月齢の低い子猫ほど発症率が高いため、子猫のうちにワクチン接種を行いましょう。
⑥猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)
猫免疫不全ウイルス感染症とは、ウイルスに感染することで免疫力が低下し、さまざまな病気にかかりやすくなる病気です。
猫免疫不全ウイルス感染症の特徴としては、感染しても症状が出ずに長生きする場合や、感染後数日〜数か月で死に至る場合などさまざまなケースがあることです。
猫のワクチンの種類
猫のワクチンには、3種・4種・5種・7種、そして猫エイズ単独ワクチンがあります。
この猫のワクチンの種類は、接種によって防ぐことができる6つの病気に対応したものとなっています。
室内飼い・屋外飼いの違い、多頭飼いかどうかなど、飼育環境によってワクチン接種の種類を決めることが多くあります。
どのワクチンを接種するかは、獣医師とよく相談の上決めることをオススメします。
猫の健康維持には免疫力が大切
愛猫が健康に暮らしていくためには、免疫力を高く保つことが大切です。
特に、子猫やシニア猫は一度感染症などにかかってしまうと、免疫力が低下して他の病気を併発するリスクが高まります。
子猫の時期から適切にワクチン接種を行い、予防できる病気は予防するということも免疫力を高く保つコツといえます。
まとめ 〜愛猫の健康のためにワクチン接種をしよう〜
猫を飼うにあたって必要なワクチン接種や、健康に関する基礎情報についてご紹介しました。
いかがだったでしょうか?
日本ではまだまだ猫のワクチン接種率が低く、感染の危険が多くあります。
ただ、感染症の多くはワクチンを適切に接種することで防ぐことができます。
愛猫の健康管理のため、毎年ワクチン接種を忘れずに行ってください。
ワクチン接種の際には、今回ご紹介した注意点や副作用を参考に、獣医師と相談の上行いましょう。