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「いつまでも元気で」知っておきたい!高齢犬のケアで大切なこと

「いつまでも元気で」知っておきたい!高齢犬のケアで大切なこと

大型犬の10歳は、人間だと75歳。犬は1年で人の4~7歳分年を取り、7歳になると高齢期にさしかかります。近年の獣医学の発展で平均寿命は14歳を超え、高齢犬が増えています。愛犬にいつまでも元気で過ごしてもらうためにも、高齢犬をどのようにケアしたらよいかを知っておきましょう。また介護が必要になったとき、飼い主さんも愛犬も気持ちよく過ごせるコツもご紹介します。

愛犬が高齢になったら注意することって?

愛犬が7歳になるころから食事や環境、ケアを見直します。年を取ってから慌てないように準備しておくことがポイントです。

7歳になったら食事や環境をチェック

まずは食事や、愛犬の生活環境を見直しましょう。

  1. 食事の見直し
  • 年齢に合わせたフードに切り替えましょう

7歳になったら今までのフードでいいか、一度見直してみましょう。年齢に合ったドッグフードに切り替えるのがおすすめですが、犬それぞれで状態が異なるので一概に当てはまらないこともあります。太り具合や食べ具合、運動量や便の調子を確認します。愛犬の状況を見ながら、少しずつ切り替えていきます。

  • 手作り食派もドッグフードに慣れさせましょう

手作り食を食べさせている方は、ドッグフードにも慣れさせておきましょう。万が一入院したとき、動物病院ではドライフードや処方食になることがほとんどだからです。

  • 食べやすい食器を用意しましょう

首を曲げて、かがんで食べるのがつらくなってきます。立ったまま楽に食べられる食器を用意するか、高さを調節してあげましょう。

 2.生活環境もチェック

  • 床には滑り止め、段差には踏み台やスロープを準備しましょう

徐々に足が弱ってきます。滑りやすい床にはマットを敷くといったケガの予防をします。家の中に階段や段差がある場合も滑り止めを敷いたり、踏み台やスロープを置いたりしてあげましょう。

  • 外飼いの子は家の中に入れてあげましょう

外で飼っている子は、暑さや寒さに対応しきれなくなってきます。また鎖でつないでいる場合は、足に絡まった鎖が取れなくなるとケガの元になるので、できれば家の中で飼うことをおすすめします。

  • 家でトイレができるようにしましょう

排泄を散歩の時にしている子は、家の中でできるようにしておくことをおすすめします。家で排泄できると足が弱ってきた場合や、寝たきりになってしまった場合に愛犬も飼い主さんも楽ですよ。立って排泄ができなくなってきたら、犬用紙おむつを利用します。

散歩やゲーム、マッサージで刺激する

たくさんの刺激を受けることは、老化防止にとても有効です。

1.毎日の散歩は欠かさない

散歩で外に出かけることは、刺激になり気分転換にもなります。たまにはいつもと違うコースを歩いてみるのもいいですね。

2.ゲームを楽しむ

時々はボール遊びや引っ張りっこ、かくれんぼなど、犬の好きなゲームをするのもおすすめです。

3.毎日、マッサージで体をほぐす

ブラッシングやマッサージで体をほぐし、刺激してあげましょう。手でマッサージすることで、腫瘍やできものの早期発見にもつながりますよ。

老化?病気?こんな症状に注意!

単なる老化現象だと思っていたら、病気だったということも。犬の様子をよく観察し、おかしいなと思ったら動物病院へ行きましょう。

1.年を取ったら痩せてきた

心不全や、糖尿病かも? 急に痩せてきたときは特に注意が必要です。

2.ご飯を口からこぼすようになった

口の中にできものができている、または歯周病で歯がぐらぐらしている、歯が抜けてしまっているなどの理由が考えられます。

3.気難しくなって、触ると怒るようになった

触られると痛いところがある可能性があります。

4.免疫力が落ちたのか、よく咳をする

心不全といった心臓疾患では、咳がよく出ることがあります。犬の咳は注意が必要です。

5.トイレが近くなったみたい

膀胱炎や膀胱に腫瘍ができているのかもしれません。オスなら、前立腺肥大も考えられます。

6.突然若返ったようにご飯もよく食べ、エネルギッシュに動くようになった

元気に見えますが、実は甲状腺機能亢進症かもしれません。急に活発になったときは要チェックです。食欲がやたらと増しているときは、認知症になっているかもしれません。

ほかにも歩き方がぎこちない、呼んでも気づかないなどの変化が見られたら、一度、動物病院を受診してくださいね。

もしも介護が必要になったら

犬が高齢になるにしたがって、「自分でご飯が食べられない」「足が弱って支えないと立てない」「歩けない」、そして「寝たきり」になったりしてしまう可能性ももちろんあります。そうなると介護が必要になります。

高齢犬の介護のポイントは「1人で抱え込まない」

大切な犬に介護が必要になったら、なんとか快適に過ごさせたいと飼い主さんは一生懸命になります。しかし、飼い主さんにとっては負担になることもたくさんあり、無理をしがちです。犬の体を支えて排泄をさせるだけでも重労働です。犬によっては粗相が増える、夜中に吠えるなどの症状が出ることもあります。

また、新しいグッズが必要になったり、高額な処方食が必要になったりと金銭的な負担も増えることがあります。これらを乗りきるのに大切なこと、それは「1人で無理をして抱え込まないこと」です。

  • 人に相談をする

同居する家族がいる場合は、世話を家族で分担することも大切です。また獣医さん、動物看護士さんにもまめに相談しましょう。犬の介護の経験者や散歩仲間などに話を聞いてもらうと、思わぬアドバイスがもらえることも。

  • 無理をしない

金銭的な負担が大きくなったときも犬のためだからと無理をせず、自分にあった介護を精一杯やります。例えば処方食も金銭的に負担の少ないものを紹介してもらう、介護グッズも家にあるもので代用するなどです。

  • 夜鳴き対策を行う

実は飼い主さんを大きく悩ませるのが、夜鳴きです。昼間はなるべく起こしておき、明るい場所にいさせます。とはいえずっと見張っているわけにもいきません。おさまらないときは動物病院で相談するといいですよ。

寝たきり介護のポイント

寝たきりの犬の介護は肉体的にも精神的にも大変です。少しでも負担を減らすポイントをご紹介します。

  • 介護用ベッドを用意する

梱包につかう緩衝材シートを、マットの上に何枚か重ねて敷いてもOKです。その上に大きめのペットシーツを敷いて、タオルを敷けば汚れてもすぐ取り換えられます。古着の綿Tシャツといったものも便利です。緩衝材シートはホームセンターで買えます。

  • 床ずれができやすいところには枕やスポンジを置く

犬の腰や肘、頬など関節や骨の出ているところは床ずれができやすいところです。タオルを重ねたものや、薄いスポンジを置いて予防します。時々体の向きを変えてあげましょう。床ずれができてしまったら、すぐに動物病院を受診します。

  • しっぽには包帯を巻く

しっぽには伸縮性の包帯をやわらかく巻いておくと、排泄物で汚れても包帯を取り換えるだけですみます。お尻まわりの毛は、カットしておくとケアが楽です。

高齢犬ケアには見直しと観察、無理をしないことが大切

犬が高齢期にさしかかる7歳になったら、食事や環境を見直しましょう。また老化予防のためにも、毎日の散歩やマッサージで刺激することも大切です。犬の様子も、今以上に気をつけて観察しましょう。犬によっては、寝たきりになって介護が必要になる子もいます。飼い主さんが1人で抱え込まず、無理のない介護をすることが何より大切です。

 

文:伊藤 悦子

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プロフィール:麻布大学獣医学部環境畜産学科(現:動物応用科学科)卒。子供の時からいつもそばに動物がいる暮らしをしています。インコ、文鳥をはじめ犬や猫、モルモットなどと生活をしてきました。大学で学んだことだけではなく、子犬や子猫の世話から老犬老猫の介護、多頭飼いと今までのさまざまな経験から、皆様のお役に立ちたいと思っております。現在は茶トラのめす猫2匹と同居しています。

参考:

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