「猫はツメとぎをするから壁がぼろぼろになる」とよく言いますが、そもそもなぜ猫はツメとぎをするのでしょうか?
猫のツメとぎに関する疑問や起こりやすい問題を知り、猫との生活をより良いものにしましょう。
今回は猫がツメをとぐ理由やつめとぎの種類、猫につめとぎをしつけるうえで大切なポイントなどについてご紹介します。
猫がツメとぎをするのは4つの理由がある
猫がツメとぎをするのは本能的なもので、生後1~2週間頃には既にツメとぎのような行動をとります。
大人の猫のようにバリバリと力強くとぐことはできませんが、床や壁をカリカリと引っ掻くようなしぐさをとるようになるのです。
ここでは、猫がツメとぎをする4つの理由をご説明します。
1.つめを鋭く保つため
猫がツメとぎをするのは、古くなったツメをするどく尖った新しいツメに交換するためです。
私たち人間と違い、猫のツメは鉛筆のキャップのような構造をしており、幾重にも重なって「さや状」になっています。
通常古いツメは自然と抜け落ちますが、猫は定期的にツメとぎをすることによって、古いツメをはがしやすくしているのです。
自然とはがれたツメは三日月型をしており、ツメの側面だけがはがれたような形に見えるのが特徴です。
2.マーキングのため
猫はツメとぎによって自分のニオイをこすりつけ、「ここは自分のテリトリーだ!」と縄張りを主張しています。
猫の肉球には縄張りフェロモンを発する臭腺があるため、ツメをとぐことで周囲にマーキングしているのです。
また、高い位置にツメ痕をつけることによって「ここは体が大きく喧嘩の強い猫の縄張りですよ」とアピールすることもできます。
そのため縄張り意識の強いオス猫ほど、できるだけ高い場所にツメ痕を残そうと背伸びをしてツメをとぐ傾向があります。
3.気分転換をするため
おもちゃに飽きてしまい退屈な時や、お客さんがきてストレスを感じている時も、猫はツメとぎをします。
これは、バリバリと思いっきりツメをとぐことによって、なんとか気分をリフレッシュしたいと思っているからです。
また、体の関節や筋肉をつめとぎで伸ばそうと、寝起きやトイレ後のストレッチ代わりに行うこともあります。
4.自己アピールのため
猫は飼い主の目の前でツメをとぐことで「構ってほしい、遊んでほしい」という気持ちを表現することもあります。
猫がわざわざ目の前でツメをとぎ始めたら、「私を見て!」という可愛いアピールだと思っていいでしょう。
ツメとぎ=構ってもらえると覚えた猫は、何度もツメをといで飼い主の注目を集めるようになります。
猫にとって理想的なツメとぎとは?
ひとくちに「猫のツメとぎ」といっても、素材や作りによって様々な種類があります。
ツメとぎを用意する際には、どのタイプが愛猫に合うのかを考えてから購入するようにしましょう。
ツメとぎの主な素材
【麻縄などのロープ】
木製の棒に麻縄・綿縄のロープをぐるぐると巻き付けたツメとぎです。
しっかりした作りのものが多いため、ツメとぎの素材のなかでも猫の人気が高いという特徴があります。
土台付きで重量感もあるため、体の大きい猫がバリバリと力強くといでも位置がズレることはほとんどありません。
ロープがほぐれてきたら新しいものに付け替えられる商品もあるため、長期で使うツメとぎとしておすすめです。
猫の人気:とても良い
メリット:猫の人気が高く、安定感もある
デメリット:重いので移動が大変。価格が高い商品が多い
【段ボール】
断面が蜂の巣状になっているツメとぎで、ロープの次に猫人気が高い素材です。
段ボール製のツメとぎはとてもポピュラーなため、安いものでは500円程度で購入することができます。
ロープよりもかさばらず、使い終わったら燃えるごみに出せるのが段ボール素材の良いところ。
消耗が激しく、かつとぎカスがかなり出るため、部屋の掃除が大変なのが短所です。
猫の人気:とても良い
メリット:安価で手軽に手に入る
デメリット:消耗が早く、とぎカスが多い
【カーペット】
プラスチックや木製の板にカーペット素材を巻き付けたツメとぎです。
キャットタワーの足部分によく使われており、ツメとぎ単体で売られていることは少ないでしょう。
とぎカスが出にくく比較的長持ちしますが、ほとんどの商品はツメとぎ部分のみの取り外しができません。
消耗した場合はキャットタワーごと取り替える必要があるため、処分の手間がかかります。
猫の人気:良い
メリット:キャットタワーと兼用できるため場所を取らない
デメリット:汚れても丸洗いができない。捨てるのが大変
つめとぎの主なタイプ
素材が決まったら、今度はつめとぎの設置タイプを考えましょう。
猫のツメとぎには、以下のようなタイプがあります。
・2段以上のキャットタワー
・スタンドアップタイプ(縦置き)
・水平タイプ(横置き)
・傾斜付きタイプ(斜め置き)
・1段キャットタワー
・つり下げタイプ
猫の人気は上から順に高くなっています。
そのため、1段のキャットタワーやつり下げタイプのツメとぎはサブに利用すると良いでしょう。
ただし、高齢の猫は低い位置のつめとぎを、体重の重い猫は水平タイプのツメとぎを好む傾向があります。
猫によって好みはそれぞれですので、愛猫の体型や年齢を考慮して選んであげて下さいね。
猫のツメとぎでよくある悩み
猫と一緒に暮らすうえで、ツメとぎの悩みというのはよくあることです。
ここでは猫のツメとぎに関する悩み3つと、考えられる原因をそれぞれご紹介します。
(1)ツメをとがない
ツメとぎは猫の本能からくる行動ですが、猫なら必ずツメとぎをするというわけではありません。
もともとツメとぎに興味のない猫もいるため、ツメとぎをしないからといって心配しなくても大丈夫です。
飼い主が定期的にツメを短く切っていたり、猫が自分でツメをかじって長さの調整をしている場合もあります。
ただし、ツメが伸びすぎていても猫はつめとぎをしなくなるため、ツメの長さは定期的にチェックしましょう。
猫のツメが伸びすぎてしまうと、どこかに引っかけて怪我をしたり、巻き爪によって出血したりします。
(2)突然ツメをとがなくなった
猫は気まぐれな動物とよくいいますが、年齢が上がるにしたがってツメとぎの好みが変わることもあります。
人間と同じように猫も歳をとると体のふしぶしが痛むようになるため、高い位置にあるツメとぎなどは避けるようになるのです。
またツメとぎの素材でもっとも猫の人気が高いのはロープですが、実は老猫にもっとも人気が高いのはカーペット素材です。
若いうちは研ぎがいのある固い素材が好みでも、歳を取るにつれて適度に柔らかい素材を好むようになるということですね。
(3)違う場所でツメとぎをしてしまう
用意したツメとぎの素材やタイプ、置き場所が気に入らないのかもしれません。
猫によって好みのつめとぎは違うため、色々な種類のツメとぎを試してみてください。
また、一度ツメとぎをした場所には猫のニオイが染み付いているため、思わずその場所でツメをといでしまっているのかも。
間違ってしまった場所に消臭剤をかけてニオイを消し、その前には障害物を置くなどして、猫が混乱しないようにしてあげましょう。
猫のつめとぎの正しいしつけ方
猫につめとぎを正しく教えるには、猫に「ここはツメをとぐ場所だ」ということを教えてあげる必要があります。
猫のツメとぎをしつけるうえで重要なポイントは以下の2つです。
(1)まずはツメとぎへの警戒心をなくす
新しいツメとぎには猫の知らないニオイがついているため、警戒心の強い猫は怖がって近づくことができないことも…
猫が安心してツメとぎをチェックできるよう、毛布やタオルを使って猫のニオイをツメとぎに付けておきましょう。
ツメとぎの側で遊んだり、ツメをといだらおやつを与えたりして、ツメとぎに良いイメージをつけるのも効果的です。
もし猫が違う場所でツメをとごうとしたら、怒らずに正しい場所まで猫を誘導するか、ツメとぎ自体を動かすようにしてください。
(2)ツメとぎは猫がよくいる部屋に置く
どんなに好みのツメとぎを用意したとしても、猫の生活スペースから離れた場所に置いてしまっては意味がありません。
猫が気軽にツメをとげるよう、メインのつめとぎは猫がよくいる部屋&猫がよく通りがかる場所に設置するのがおすすめです。
猫は寝起きや食後によくツメをとぐため、ベッドや食事場所の近くにつめとぎを設置しても良いでしょう。
うまくいかなければツメとぎ対策グッズを使おう
ツメとぎは猫のストレス解消でもあるため、あまり無理にしつけようとすると逆に頻度があがってしまうこともあります。
とはいえ、猫に好き放題ツメとぎをさせて家の壁や床がぼろぼろになってしまっては困りますよね。
そんな時は、猫のツメとぎ対策グッズである壁保護シートや猫が嫌がるスプレーを使ってみましょう。
猫と飼い主の両方が気持ちよく暮らせるように、ツメとぎ対策は色々と工夫してみてくださいね。