MENUMENU

飼い主が気づける猫の病気のサインや症状と年齢別のかかりやすい病気

飼い主が気づける猫の病気のサインや症状と年齢別のかかりやすい病気

病気になると猫は小さなサイン(兆候)を出します。しかし、病気ではなくきまぐれな行動に見えたり、単なる勘違いと思ってしまったり、飼い主がサインに気づけないことがよくあります。早くサインに気づくことができれば、早期に治療をはじめられ、重症化する前に短い治療期間で完治も可能です。つまり、愛猫の健康は飼い主がサインに気づくかどうかにかかっているのです。病気のサインや症状、注意したい病気を年齢別に紹介します。

病気のサインを察知しよう

猫はがまん強い生き物で周囲に弱点を見せないため、痛みやつらさを表情や行動にあまり出しません。次のようなサインを見逃さないようにしてください。

  • 食欲がない
  • 元気がない
  • 落ち着きがない
  • 呼んでも反応しない
  • 遊びに誘っても反応がうすい
  • イライラした様子を頻繁に見せる
  • 急に粗相をするようになった

気が向かないのかな? 今は不機嫌なの? ちょっとバテたのかな? そんなふうに思いがちな小さな変化が体調不良のサインだったり、病気による異変だったりするのです。

たとえば、腸閉塞という病気では、排便ができなくて食欲がなくなります。足や尻にケガをしていたら座ることができませんし、体に痛みを感じていたら触られるのを嫌がります。また、排泄機能に異常があって粗相してしまうことがありますし、目がよく見えていなくて遊びに興味を示せないなど、小さな変化が病気の症状から起こっている場合があるのです。

病気やケガは早期発見・早期治療が、もっとも適切な対応です。小さなサインを見逃さないよう、日常的に気を配ってください。

8C_7591691.jpg

猫の病気でよくみられる症状

病気が進行すると、さまざまな症状が全身に現れてきます。次のような症状に気づいたら、できるだけ早く動物病院に行きましょう。

●併せて読んでほしい記事:猫が病院を嫌がるのは当たり前!ストレスの軽減法と病院の探し方

その際、いつから、どれくらいの頻度で、どういう症状が出ているのか、具体的に獣医師に伝えてください。症状を写真や動画に残して、医師に見てもらうのもおすすめです。

顔の変化

目・耳・鼻・口など、顔に現れる代表的な症状は次のとおりです。

  • 目やにが出る
  • 目が開かない
  • 涙が多く出る(目の周りの毛が汚れている)
  • 目が濁っていたり、白や緑に見える
  • 発熱
  • 咳やくしゃみ
  • 毛玉以外のものを吐く
  • 口が臭い
  • 鼻水や鼻血が出る
  • 耳が臭くなったり、耳垢が増えたりする

猫は頻繁に毛づくろいをするため、症状が軽い場合は飼い主が気づきにくかったり、動物病院に行った時に症状が見られなかったりします。気づいたときに記録しておきましょう。

体に出る変化

症状が体全体に出ることもあります。少しずつ変化することもありますし、急激に変化して飼い主が気づくこともあります。

  • 毛が抜ける
  • 歩き方がおかしい
  • お腹がたれ下がってくる
  • 背骨が曲がる
  • 急にやせる
  • 胸が激しく上下する(呼吸がおかしい)
  • 体の一部に麻痺(まひ)や痙攣(けいれん)がみられる

ふだんから愛猫の写真を撮っておいて、いつでも見比べられるようにしておくと変化に気づきやすいですね。また「以前はこうだった」と比較できるようにしておくと、動物病院で症状を説明しやすいでしょう。

排泄機能の異常

猫の場合、飼い主はほぼ毎日トイレの砂を取り替えますよね。その際、砂の状態を観察しておくと排泄機能の異常に早く気づけます。

  • 尿が出ていない
  • 尿の量が多かったり、頻度が高い
  • 便が出ない
  • 下痢を繰り返す
  • 血尿や血便が出る
  • 粗相が治らない

排泄機能に異常がみられた場合、内臓の病気がかなり進行している可能性があります。命にかかわることもあるので、気づいたらすぐに動物病院へ行きましょう。

行動の変化

猫の体に異常がなくても、行動の変化が病気のサインである場合があります。

  • 攻撃的になる
  • 水をガブガブ飲む
  • ジャンプできなくなったり、高い所から降りられなくなったりする
  • 自分の体の一部や毛布などをなめ続ける
  • 過度な爪とぎや尿スプレー行為が止まらない

脳や内臓の病気だったり、強いストレスを抱えていたり、心の病気だったりと原因はさまざまです。気になる行動があった場合はストレスの原因を探るか、獣医師に相談してください。

nekoIMG_8705_TP_V4.jpg

猫がかかりやすい病気

猫は、ライフステージごとにかかりやすい病気が変わります。特に注意したい病気を年齢別にみてみましょう。

子猫は感染症と寄生虫に注意

子猫は体力がなく、免疫力も弱いので、ウイルスや細菌が原因の感染症に注意が必要です。代表的な病気は、猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症、猫伝染性腸炎、猫白血病ウイルス感染症、猫クラミジア感染症、猫エイズ、猫伝染性腹膜炎、猫伝染性貧血です。さらに、ノミやダニ、腸内に寄生する寄生虫にも注意してください。子猫を保護した場合、かなり高い確率で病気や寄生虫を持っています。必ず動物病院で検査を受け、獣医師と治療や予防について相談してください。

成猫は心の病気・肥満・皮膚病・誤飲に注意

成猫はストレスが関係する心の病気、皮膚病、肥満や誤飲に注意しましょう。成猫は、体力を持て余したり、本能的な欲求を満たせなかったりすると、ストレスがたまって問題行動が目立つようになったり、心の病気になったりします。また、ノミやダニ、食事、金属、細菌やカビなどが関係する皮膚病にも注意が必要です。アレルギーを持っている猫の場合、重症化すると命にかかわるので特別な配慮が欠かせません。

さらに、好奇心旺盛な猫は、観葉植物やおもちゃの破片、人間が残した料理などを飲み込んでしまうことがあります。飲み込んだもので食道や胃腸が傷ついたり、腸閉塞になったり、中毒症状が出たりします。成猫は元気で活発だからこそ、かかってしまう病気に注意してください。

老猫は目に見えない部分の病気に注意

老猫になると、内臓や血管など目に見えない部分の病気が増えます。猫は腎臓の病気になりやすいのが特徴です。症状が軽ければ食事療法で対応できますが、病気が進行すると透析や輸液が欠かせなくなってきます。さらに腫瘍(いわゆるガン)や認知症になることもあり、手術を何度も受けたり、1日24時間の看病が必要になったりします。

老猫は動きが少なくて病気のサインが見えにくいのですが、毎日、飼い主が健康チェックをしたり、こまめに定期健診を受けたりして、できるだけ早く異変に気づけるようにしましょう。また、負担が少ない療養環境を整えることも大切です。

大切なのは飼い主の観察力

病気は早く発見できれば短期間で治療でき、高い確率で完治させられます。つまり、飼い主の早い気づきが愛猫を病気から守ることにつながるのです。年齢別にかかりやすい病気を知り、そのサインや症状が出ていないか日々チェックしましょう。かかりつけの動物病院を持ち、定期的に健康診断を受けるのが理想です。

また、病気やケガに備えて愛猫のための医療費対策も重要です。毎月、一定金額を積み立てたり、ペット保険に加入したりして、万が一のときでも治療費全額を安心して支払えるよう準備をしておきましょう。

愛猫を守ってやれるのは飼い主自身です。かけがえのない家族のために、ちょっとしたサインに目を向けることを忘れないでくださいね。

 

文:須永 智尋(すなが ちひろ)

プロフィール:

15年の社会人経験後、育児と仕事の両立を考えてフリーライターに転身。小動物看護士・小動物介護士・ドッグシッター・人工授精士(牛)という資格を活かし、ペットの飼養管理・しつけ・介護などについてアドバイスをしたり、ライターをしたりしている。ダルメシアンやゴールデン・レトリバーといった大型犬を飼うことが夢。

 

参考:

猫の病気と対応カテゴリの最新記事